おじさんの休日(Kプリでの出来事~Tバック)

今年は暑く、長い長い夏でありました。
夏が好きな人は満喫したでしょうし、嫌いな人にとってはうんざりするような日々だったでしょう。
今回は、今年の残暑の頃の出来事をお話させていただこうと思います。
小生は今年、日課となっている平塚の市営プールの昼休みスイミングは8月で終了となり、
9月に入ってからは多少贅沢ですけれども、“Kプリンスホテル”のプールへせっせと通っておりました。
わが診療所から車で15分くらい、途中腰越から七里ガ浜に至るルートがいかにも湘南らしく、
小生のお気に入りスポットで、Kプリから見る相模湾に浮かぶ江の島は、ひっそりとして海から浮き上がっているように感じられ、それをとりまく白い帆のヨットにいかにも夏を感じさせてくれます。
いつものようにKプリの2Fからプールサイドに出ようとすると、びっくりするものが私の視野に入ってきました。
「ゲゲゲ!男のTバック!」
お嬢様方のTバックは何回も拝見したことがありますが、男のは・・・。
それも申し訳なくも、全く似合っていない・・・。
思わずお顔を拝見すると、私より2回りぐらい程下で、結構イケてるお姉さまと一緒でした。
その一挙手一投足に注視していると、そのお二人は私のチェアーの前のジャグジーでピッタリと抱き合い始めました。
我が息子流に言うと「アリエネエ―」という感じで、全く周囲の目など入らないと言うか、気にしない、長く長く抱擁を続けているのです。
私はというと眼のやり場に困り、とはいえ気にはなるので“うす眼”を開けて寝ているふりをしておりましたが、
お二人は何かブツブツと愛のささやきをしています。
しかしTバックといい、愛の抱擁といい、その顔つきといい、きっと日本人ではないと勝手に解釈して馬鹿馬鹿しくなりプールで泳いでいると、何しろシーズンオフで5組ほどしかいないプールですので、今度は風むきで話している内容が聞こえてきました。
女:「おじさんのつかの間の休日ね」
男:「嬉しそうだな」
二人:「フフフ」
流暢な日本語が聞こえてきて彼等が日本人である事が解りました。
周りを見渡すとヤングジェネレーションばかりでおじさんはいませんので、私の事を言っている事を悟りました。
「おじいさんと呼ばれなくて良かった」「つかの間の休日じゃなくて休み時間中だよ」と心の中でつぶやいて、つくづく日本の平和さが身にしみて、またそれが心配になり診療所に戻りました。
9月の暑い暑い1日の出来事でした。