植木等とのぼせもんを見て

NHK植木等とのぼせもんを見て、昭和30年代を思い出している。
昭和30年代、日本が戦争のショックから立ち直り、自信を持ち、色々と躍動しはじめた頃の話だ。
箱根の受付のKさんに「植木等って知っているか」と聞くと、首を傾けながら「知りません」との回答が来て、
「それではハナ肇とクレイジーキャッツはどうだ」と聞くと、それも「知りません」との事。
予想はしていたが、いささかショックだった。

彼等の全盛期は私が小学校から中学校に入った頃だと思う。
渋谷の映画館に友人と2、3人で植木等の「日本一の無責任男」などを観に行ったことを覚えている。
スーダラ節といって、手をふらふらさせる踊りを皆でやったものだ。
あんなにおもしろく、腹を抱えて笑って幸せな気持ちになった事はなかった。
日曜日は「てなもんや三度笠」「隠密剣士」「シャボン玉ホリデー」「NHK大河ドラマ」で夜6時から9時までテレビにかじりついていた。
「のぼせもん」のテレビでも言っているようだが、植木等の実像はその虚像と違い、本人はこのような事をやっていていいのかと常に自問自答していたようだ。
私は実家が世田谷の砧というところにあり、植木等の住んでいる所の近くにあった。
とにかくその時は「固い」「くそまじめ」という評判ばかりであった。
ハナ肇が死に、植木等が死に、谷啓まで亡くなった。
残っているのは犬塚弘と桜井センリだけとなっている模様だ。
ザ・ピーナッツや園マリ、奥村チヨなどが出てきて、あの頃の歌手はやはりうまかったと思っている。
時代が変わり、ネット、スマホなど色々若者が楽しむものが出てきたが、かえって散漫になって、日本中がわき起こるような芸能人や出来事が少なくなり、全体が薄くなったような気がする。
とにかく植木等の話相手を探し始めて語るようでは、私も老人になってしまったかと思ってしまった。