「せっかくおいしく食べたのに……」
我がらいおん歯科の婚活後の女子の感想である。
婚活パーティーの後、意気投合して二次会でおいしい食事をした後、支払いは「ワリカンで」と言われた後の感想である。
実感がこもっている。
それから、20代30代の女子に聞いてみると、どうやらワリカンは普通になっているらしい。
20代は全く平気、30代は少し抵抗を持ち、40代はかなり抵抗を持ち、50代はうけつけなくて、60代(もっともあまりいないが)は、言語道断という事が数々のヒアリングで判明した。
(自分もかなり暇な男だ)
このように時代は変わってゆくのか。
中でも相当に驚いたのは、クリスマス・イブに夕食をしてワリカンにした例があった事だ。
私の娘がそのようなことをされたならば、ただちに別れヨと言うだろう。
中高時代の友人に、女子とデートをした時にワリカンした事があるかと聞いたら断固としてノーとの事。
「ワリカンにするぐらいならデートはしない。それでもしたいなら、それはヒモだ」との事。
さすが日本男児だ。胸がスゥーっとした。
何でこのように変化していったのだろう。
そう思いながらぼんやりテレビを見ていると、石田純一が、安保法案反対で、国会前に出てきて「戦争は文化ではない」とか言って、マイクをとってわめきたてている。
実はこの石田純一も安倍総理も、昭和20年代後半生まれの同世代だ。
その他、小池百合子や阿川佐和子、水谷豊、壇ふみあたりが同世代にあたる。
我々世代は、父親や叔父たちが戦争に何らかの形でかかわっている世代だ。
父母の時代は、まだ日本が男尊女卑の気風が残っていて、男性優位の世代である。
石田純一と安倍総理は主義主張は違うが、同じ世代だと共感させられるものがある。
一方において、最近の20代30代の男子は草食男子とも言われていて、要するに、失敗することを極度におそれる「受け身男」と私は言いたい。
それは彼等の父母が戦争を知らず、日本が不況になっていった世代と関係しているのではないかとも感じる。
それは診療にも言える。
あえて無理をして、自分の出来る範囲を広げない。
インプラントに習熟したら、マイクロ、マイクロに習熟したらGP矯正と、自分の得意分野を広げようとしない。
昔、大学で寮生活をしていた時の、交友範囲内で女子に「ガツン」とやられて、失恋のショックで1週間立ち直れずに寝込んでいる者が必ずと言っていい程いた。
「肉食男子」がせめこんで、ガツンとやられる断末魔的な姿であった。
しかし、ふられてもふられても、懲りずに「女子」に向かっていく姿に皆エールを送り、ヤケ酒に付き合い、そして1ヶ月たち2ヶ月たって立ち直っていく姿を何回見たことか。
でもそういった過程を経て、社会人となっても自分の出来うる範囲の極限まで生きてきたというのが、我々の世代ではないだろうか。
らいおん歯科の独身ドクターも如実に「草食男子」の傾向が出ている。
20年ぐらい前までは、かなり個性的で、私に論戦を挑んできたドクターがいて厄介だなと思う一方、そういうドクターは独立しても確固とした自分を持っていたので、開業しても成功するドクターが多かった。
草食男子では女の子とデートしているぐらいならいいが、「戦争」ともいえるこれからの歯科医院の開業の世界で渡っていけるのかと心配しているのは私だけだろうか。