カタツムリのキミちゃん

6月は亡き母の誕生月で、存命であれば104歳となる。 死んでもう20年にもなるが、今でも夢にはよく出てくる。 箱根には色々な動物が現れ、微妙に小田原とは生態系が違うのでそれが楽しみとなっている。多くの友のようにカメラ力があれば、ここに披露したいのだが、私はその能力に欠けるのが残念である。 7、8年前かなり精神的にまいった時期があった。玄関先に鮮烈な緑と赤と黄色の蛇が鎌首をもたげて、こちらを凝視していた。 あまりの見事さに驚いてしばらく見とれていると、スルスルと立ち去った。 ちょうどその頃忙しさにかまけて墓参りを怠けていたので、その蛇は亡き母の化身と思いすぐさま墓参りに行くと、色々と悩みごとが氷解した。 今年の4月頃より多忙となり父親の命日の墓参りをすっぽかしていた。寝室からふと山の景色を眺めていると、開ける事の出来ない窓ガラスに5cm程のカタツムリがはりついている。トントンと叩いても微動だにしない。我が部屋はマンションの4階で、どのようにして登ってきたのか。よく見るととても死んでいるようには見えない。 足の部分はうるおっているが、とにかく微動だにしない。 1週間たっても2週間たっても定位置である。 ガラスにマジックインクで位置を特定しても、動いていない様子が窺われる。毎日帰宅時カーテンを開けて、まだいることを確認すると安心する。どうやら情が移ってしまったようだ。 カタツムリを母親の名前「キミエ」からとってキミちゃんと命名した。 このカタツムリはどういう行動をしているのか、ネットで調べたが解らず。動物博士の我が恵迪寮のS先輩にメールをする。 するとたちどころに返答があり、このカタツムリは夏眠している事が解った。梅雨時はまた動き出すかもしれないとの事だ。 しかもこのカタツムリは右巻きなのでミスジマイマイという事も解った。さすが持つべきは先輩で、その博学には驚かされる。 もうじき梅雨の季節がやってくる。 最近は帰るなり「キミちゃん」がいるかどうかが気になり、カーテンを開けてその存在があるとほっとして、朝は行って来るよと声をかけて出かけてくる。 夏眠から覚めてどこかに「キミちゃん」が行ってしまった時、どのように動揺するのか、心配する毎日である。