記憶力

暑い夏が過ぎたかと思ったら、台風のシーズンとなり、お年玉付き年賀状が発行され、今年も忘年会の事を考えなければならない季節となりました。
先日、イベント担当のOさんが現れ、忘年会の中華料理が不評だったとの話をしていきました。
昨年の忘年会の料理は何だったのだろうという事となり、あたりかまわず聞いてみると、皆「記憶にない」とか「洋食のフルコースだったと思う」とか、極めてあいまいで、こういう食べ物の事は、
やはり手広のSさんに聞くのが一番と、電話をしてみると、Sさんは非番の日で、Fさんが出て、Fさんはさっぱり覚えていないが記憶力の良いSさんなら覚えているとの事でありました。
「Sさんって、そんなに記憶力良いの?」と聞くと
「スゴイんですよ」との事。
「食べ物の事だけじゃないの」というと、Fさんは
「いいえ、すべて良いです」との事。
「じゃ、俺のイヤミとか、イジメもみんな憶えているのか」と聞くと「きっと」との事でした。
その日は出来る限りのスタッフに同じ質問をしたが、皆一様に
「憶えていません」との事でした。
翌日さっそく、SさんにTELすると、
「去年は私、食事食べられなかったんです」との事で、
「そんな事聞いてるんじゃないの。メニューを聞いているんだ」と言うと
「えーっと、えーっと、混ぜご飯に茶碗蒸し、お吸い物に、えーっと白身魚の西京焼。でも私食べられなかったからなぁ~。それとローストビーフです。それとチョコレートフォンデュ」
私「・・・・・・・・・」「すごい、これは才能だ」と言うと、
また「私、食べられなかったんです」との事で
「うるさい、5回も言うな」と私が言う。
Sさんの記憶力は知る人ぞ知るで、周りでは有名だったらしい。
9年も一緒に働いて気付かないとは。
そういえば、患者の名前とくせも、いつも明確に言っていた事に気が付いた。
いつも、ある面、馬鹿にしていたが、本当は頭が良いのかもしれない。その後も何人かに聞いたが、Sさんほど答えられる者はいなかった。それでも、あまのじゃくの私は、ほめようともせず、
「食べられなかったのは、桃色クローバーの踊りをするので、胸がいっぱいで、緊張していたのと、Sさんの超偏食のせいだろう」と
言い放った。
人には色々な才能があるものだと、つくづく感じた出来事でした。