箱根の1日

今日も朝早く、箱根の自宅を出るや否や、隣家の大手化粧品会社社長の別荘の、掃除をしているおばさんが寄ってきて、
「旦那さん、注意しなさいよ。イノシシがすぐそこで出たよ」と言い、
「ウーウーと言いながら、私に襲ってきそうだったよ」とイノシシの恰好を真似て、ジェスチャーしてきた。
その恰好、そして顔までもが、あまりにイノシシに似ていたので、思わず笑ってしまった。
車を運転しながら思った。
自分も成長したものだ。2、3年前なら、きっと「おばさんが、あまりにもイノシシに似ているから、仲間だと思って寄ってきたんじゃないの」とかましたに違いない。

箱根は、本当にいろいろな動植物が目に触れる場所だ。
サル、イノシシ、シカ、ハクビシン
そして、診療所から見渡せる須雲川には、カモ、コアジサシ、シギ、サギなどが飛来して目を楽しませてくれる。
その他生態系が違うのか、昆虫やクモ、蝶なども小田原あたりでは、見られないものがある。
ある時帰宅すると、階段にカエルの置き物かと思われる、こぶし大の物体があり、なんでこんなところに置き物がと思ったら、本物のカエルで(おそらくトノサマガエル)、ジェジェジェとのけぞったことや、赤や青緑色につつまれた蛇が、かま首をあげていたり、いろいろである。
それやこれや考えているうちに、帰宅しようとすると、サルの群れが現れてきて、思わず衛生士のFさんにささやいてしまった。
「Fさん、サルの群れが現れたので、気を付けて帰れよ」
「何で私だけに言うんですか」とFさん。
その時、条件反射で口が動いてしまった。
「だって、仲間だと思って、飛びついてくるかもしれないだろう」
Fさんは、またかという顔で、無視を決め込む。
不気味な沈黙。
しまった。またやってしまった。
これでまた、感じやすい年頃の娘を傷つけた。
やはり、成長していないなと「反省ザル」の私でした。