先輩の教え

盛夏である。
例年大学時代のK寮の集まりがあり、今年は神宮外苑のビアガーデンでPM2:00に集合との事であった。
AM11時頃、あまりの暑さに自宅でアイスクリームを食べようとすると、冷凍庫に入れてあったせいかカチカチに固まっている。
自慢の前歯で一撃を加えようとすると「ガキッ」という音がして前歯のブリッジが折れてしまった。
東京に行くには12:00には家を出ないと間に合わない。
日曜日診療している秦野医院と四之宮医院で間に合わないかと考えたが、無理なので仕方なく前歯のブリッジを口腔内に戻して出かけて行った。
新幹線の中で、私の前歯のない顔を見て思いっきり笑って喜ぶS先輩やK後輩の顔が目に浮かんだ。
バーベキュー場に着いて歯が折れた事を白状すると、案の定「歯医者にくせに前歯がない」と言ってS先輩、K後輩とも大喜びで、記念撮影をして奥様に見せるとかで、前歯のない私の顔をバシバシと撮りまくった。
ビールは飲み放題なのだがセルフサービスで、S先輩が
「市島、ついでに持ってきてやる」と言って、何かあるなと思ったが、
「市島、ありがとうは?」と言う。
「お前、本当にありがとうって言えないんだ」
(私のブログ参考「ありがとうが言えなくて」2018.12.6、S先輩は我がブログの熱心な愛読者)
「教育してやる」との事で、「ありがとうございます」と言わされた。
さすがに前歯がないと元気もなく、その後夜遅くまであちこちと
はしごをした寮の仲間をしり目に退散した。
S先輩、私の「ありがとうが言えなくて」を何とかしようと思っていたのかと、ありがたいやら、ありがたくないやらで自分の前歯の治療計画を考えながら帰路についた。 

PS. 私の前歯のない顔はその後K寮のバーベキューに来ない連中にSNSで発信され、皆大笑いしたとか……トホホ