キャンディーズのスーちゃん逝く

スーちゃん
キャンディーズのスーちゃんこと田中好子さんが亡くなった。享年55歳だった。
キャンディーズが結成されたのは、ちょうど大学の入学の年だったと思う。
キャンディーズと共に青春が始まり、キャンディーズの解散とともに青春が終わりを告げようとしていた。
まさしく我々はそういう世代である。
作家の山口瞳氏はかつて結婚をするならスーちゃん、恋人にするならランちゃん、秘書にするならミキちゃんと言っていたが、さすが名コラムニストだけの事はあると思っていた。
大学に入って2~3年たった頃、中学・高校の同窓会があり、2次会で私と東大、早稲田、慶応生の4人でキャンディーズ論争が盛り上がったのを記憶している。
東大はミキちゃん、慶応はランちゃん、そして早稲田はスーちゃんを断固支持していた。
慶応君が「スーちゃんはデブだ」と言ったところ早大君が「いやいやそれは違う。残りの2人が痩せすぎてスーちゃんは普通だ」と言い、どこかで逢った事があったようで、その時の美しさ・清楚さを強調していた事を思い出す。
キャンディーズの引退の時も支持派と不支持派に分かれ、なぜかキャンディーズの話になると皆、一家言をもっていて、和気あいあいとして盛り上がったものだった。
それでも我々世代の代表として皆、あの品性・清純さを誇りに思っていたし、同世代の同価値観みたいなものを感じとっていた。
その後ミキは完全に引退し、ランとスーは芸能界に復帰した。
当然、役柄も“お嬢様役”から“母親役”に変わり、我々も自らの老いを彼女たちに重ね合わせて時代の流れを感じとっていた。
それにしても憎きガンである。
彼女は私生活も幸せ一杯の人生かと思っていたが、このような不幸を背負って人生を送っていたとはつゆ知らなかった。
芸能界に復帰したあたりの2~3年、スーちゃんはゾっとするほどキレイになった事があった。
美人薄命というか、彗星のごとく人生をよぎった彼女の死を同世代と共に深く悲しみ哀悼の意を捧げたい。