瀬戸内寂聴さんが亡くなった。99歳だった。
もう少しで100歳だったので、きっと天国で「惜しかったな」と笑っていることだろう。
寂聴さんのおかげで何人、いや何百人もの人が自殺をしなくてすんだのだろうと考えている。
寂聴さんの話によると、自分の子どもに自殺される事は逆縁といって、人生で一番厳しい事であるという。
そういった相談を受けた時どうするのかというと、寂聴さんは
「一緒に泣けばいいんですよ。
そして、人間は忘れるという特質をもっている。どんな悲しい事があっても、1年、2年、3年とだんだん忘れていくものなのです。」
と言って笑っていたそうだ。
今年の10月25日は、大学時代の同窓である親友が自殺してから30年目の命日であった。
死の連絡があってから、最初の一ヶ月及び一年は地獄であった。寂聴さんの法話を苦しみのあまり読みあさった。
「人間は、忘れるという特質をもっている」その通りだった。1年経ち、2年経つと少しずつ悲しみが消えていった。
東日本大震災の時は被災地に行き、肩をたたきながら明るい話をして満場の被災者のもとを回っていた。皆泣いていた。
もう少しで100歳だった。
寂聴さん、「私ももう少しで冥土に行きますよ。」と言ったら、
「まだまだ早い。こんでいいよ。」と百点満点の笑顔で言われそうだ。
寂しい限りです。