素晴らしき日本人

今年は酷暑である。
東海道新幹線の回数券が期限いっぱいとなり、暑いのを承知で東京に出かけた。買い物を終え、東京駅周辺に行ってみるとすさまじい暑さで、おそらく日本で私が味わった一番の暑さという実感がわいてきた。人々の顔は苦痛にゆがんでいた。
これに懲りて、今年の夏はクーラー三昧と、休みの日はプールと自宅を往復するのみにしようと思い自宅でテレビを付けると、3日ほど前から行方不明になっていた山口県の2才の子が、大分県からボランティアで捜索にあたっていた78才の尾畠春夫さんに山中の沢で発見された。
まさしく「命の恩人」であり、子どもの場合山で迷子になると上へ上へと登るそうで、ずばりそれが適中したかのような発見であった。昨日あたりから若干悲観的になっていただけに本当に良かった。
この酷暑の中、78才とは思えない若さで、東日本大震災や最近の西日本豪雨などの各地にもボランティアとして出かけられているそうだ。

しばし考える。終戦記念日に廃墟から立ち直った日本人はお互い助け合い、再び世界に伍していく国家となった。
その根底は、先頃の新幹線の暴漢による死亡事故の梅田さんといい、この2人のように救いを求めている人間を何とかしようという気持ちの入った素晴らしい人々のおかげではないか。
銀座の雑踏の中、明らかに数年前から外国人が増えているのはそういった日本人の気高さ、おもてなしのおかげで外国人に認められているからであろう。78才のおじいちゃんの喜んでいる顔を仰ぎながら思った。
本当に立派な日本人というものをまざまざと見せつけられて嬉しくなり、感動した瞬間だった。