眠れる男の変遷ぶり

実に何年かぶりに勤務医OB達と会う。
中華料理屋でビールで乾杯しようとすると、A先生がお茶で乾杯しようとしている。
「どうしたの、体壊したの?」と言うと、
「いいえ。実はこの頃ストレスで不眠症気味で薬を飲んでいるんです」との事。

20年程前、A先生と京都まで学会に行った時の事。
まず、行きの新幹線で10分経ったら爆睡、宿について夕食がすんだら、翌朝まで爆睡。会場に行って驚いたのは、講演中8割は爆睡。
昼休みも「ちょっと失礼します」とか言って、椅子を並べて爆睡。
帰りの新幹線でもずっと爆睡、とこの日一日で15時間は睡眠をとっていて、帰宅してから真剣に「眠り病」という病気があるのか医学事典で調べた程であった。

「理事長はすぐ眠れますか?」と聞いてきたので、
「布団に入って3分で眠れるよ」
「毎日ですか?」
「ここ10年位毎日そうだね」
と言うと、呆れたような、そして羨望の眼差しでこちらを見て、
「さすがです」との事。
毎日相当ストレスが溜まるようで、一日では話しきれない様子。
B先生の「今後1年に2回位合って、ミーティングやりますか」の掛け声に皆納得して家路についた。