空飛ぶ少女

今年は雪のあたり年とかで、30年ぶりとか40年ぶりの雪が立て続けにおきて、患者のキャンセルは増えるは、従業員のホテル代、タクシー代は払わなければならないし、悲鳴を上げている。
先日も、秦野医院で最終時間まで残留し、受付のAちゃん、Bちゃんとタクシーで駅まで逃亡しようとした。
その時、ビューとばかりに信じられないような突風が吹いてきた。
「ヒェー」という叫びとともに、小柄なAちゃんが20~30cm空中に飛び上がり、Bちゃんも体をやっと支えるように、片足で踏ん張っていた。
Aが飛ぶ。
必死で体を押さえにかかろうとした瞬間、風はやんだ。
20cmから30cmぐらい浮上したように思えた。
人間が飛ぶのを初めて見た。
後で思い浮かべて笑ってしまった。
Bが翌日言った。
「Aちゃんが飛んで、なんで私が飛ばなかったんだろう」
「それは体重がB>Aだからじゃないか」
「んまぁ……」
じろっとにらまれた。
なにも良い事のない雪の日の、つかの間の楽しいひとときではありました。