今年を終えるにあたって

もうあとわずかで今年も終了となる。
昨年と比べると、これだけは自慢だった髪の毛の量が少なくなったのが気になっている。
この間、箱根医院で若い衛生士の子が思いっきり、私の髪の毛をエアーでふいた。
昭和大に勤務していたころ、悪党衛生士がいて、エアーで薄毛のドクターの髪の毛を吹き飛ばして、地肌が出るのを見て、喜んでいるのを思い出した。
治療の時にアシストについてみると解るが、術者の頭が丸見えとなってしまう。
私も駆け出しの頃、よく助教授や教授のアシストについていたが、彼等の頭の上を見下ろす格好となり、よく
「もう大分薄いな。苦労してるんだなぁ。もってあと2年だろう」
とか「へんな所にイボがある。本人は気づいているのだろうか」と
不謹慎な事を思いつつ、アシストについていた。
もちろん教授や助教授は、そんなことを私が思っていようとは少しも考えていない様子で、私自身もおくびにも出さず、アシストについていた。
たぶんその箱根の衛生士は常々、上から見下ろして、私の髪の毛の薄くなったのを気づいていたに違いない。
髪の毛をエアーで思いきりふかれた時、
「薄くなっているんだから気をつけろ」と言ったら、思いっきり
会心の笑みを浮かべて笑っていた。
「クソッ。年はとりたくないものだ」

今年はプールによく通った。6月ぐらいから120日以上は行った。
治療が終わって、7時半から8時くらいまで、1時間程度市民プールに行って泳ぐ。
行ってみると、常連という人がいるもので、ある者は毎日行っているのではないかと思われる人もいる。
その常連の中で、ツルッパゲの50代の男性がいて、いつもどういうわけか、プールに備え付けのヘアードライヤーで乾かしている。
毛がないのに何で乾かしているんだろうと、いつも不思議に思っていた。
乾かしている時、非常にうれしそうな顔をしていて、とても善人そうな人だ。
「あの…髪の毛がないのに、いつもどうしてヘアードライヤーを使って乾かしているのですか」と聞きたくなるが、今まで人生において、一言多く、失敗をし続けているので、またその二の舞を踏まないようにしようと思って、踏みとどまっている。
情けない話だが、今年これが最後のやり残した事だ。
61才にもなり、ちょっとやそっとでは動揺しなくなった自分に、自分で呆れながら、相田みつをのことばを思い出す。

しあわせは いつも じぶんのこころがきめる

従業員皆、家族のおかげで今年もこんなくだらない事が心残りとなるべく1年を過ごさせてくれた皆に感謝すると共に、あのツルッパゲの男性に何というか夢想しつつ、除夜の鐘を聞く午年の最期の日でありました。