ありえねぇ

息子たちと会話をしていると、ひんぱんに「ありえねぇ」が出てくる。
彼らの「ありえねぇ」は、私たち世代に「ありえる」という意味なのかと思われる。
しかし、本当にありえねえという話は確かに存在した。
今から40年ほど前、母校北大の恵迪寮での事、先輩で水産学部のNさん、同級で(寮に入りびたりの準寮生)歯学部のT君、そして同室で教育学部のS君と私とで麻雀をやっていた。
その時は麻雀の弱い私が珍しく勝っていた。
誰かがそろそろ自分の誕生日が近づいたので、また一つ年をとるなどと言い出した。
彼等が私より学年的に1年上だという事におぼろげに理解していた。「え、2月生まれなんだ。俺も2月だよ」「2月何日よ」「2月○日だよ。」「え~」「あれれれ・・・・」
小柄の水産学部のNさんが雀パイを放り投げて、机の上に飛び乗った。
何と何と私以外の3人が同年同月同日生まれであることが判明した。
「信じられねぇ」「ありえない」彼らは絶句して、「こんなことやっていられない、酒飲みに行こう。」と口々に叫んで、夜の街に消えていった。
私は、唖然茫然として「珍しく勝っていたのに」と言ったが、完全に彼らに無視をされていた。
今年の春、年3,4回逢っている寮の同窓会であの時の話が出て、あの時麻雀をやっていて誕生日が違う他の1人は誰だっけ、という話になり、思わず「俺だ」と大声でどなったが、その時はすでに他の話にすぐ移行して、再び無視された形になり、40年たった今も相変わらず、寮の同窓の身勝手(自由奔放ともいう)さを再認識した。