今日も秋晴れ。山北で午後インプラントのオペがある。
患者は常連のAさん。もうインプラントは10本目だ。
Aさんは大変な好人物だが、若干口が悪い。
部位は上顎の臼歯部で、オペが始まり勤務医のB君に切開剥離を頼んで私は待機していると、Aさんから
「オーイ、オイ、俺はドクターXを見て、歯医者にも上手い下手があるのを知っているんだぞ。アンタは今までの中で一番下手だ。大門のようにスッと切れよ」
勤務医B君はまいったなという顔をして苦笑いをしている。
彼の名誉のために言うが、切開線はすうっとしていて見事に剥離されている。
要するに、「お前が全部やるのじゃないだろうな」というような威嚇攻撃と読んだ。
すかさず私がAさんに、「ここからは私がやります」と言うと、
「大丈夫かよ……理事長頼むよ。しっかりしてくれよ」との事。
ここで一瞬言ってみたかった決め台詞があの「私失敗しないので」。
よっぽど言おうと思ったが、やはり大門未知子のようには言えなかった。
オペは簡単に終わり、術後、理事長の西田敏行のように、いろいろ勤務医のB君に注意を与えていると、やってもらいたいジェスチャーがあった。
「御意(ギョイ)」
このタイミングでこれが出来たらB君、君の将来は間違いないと思ったが、ゆとりのないB君にそんなセリフは言えるわけがなかった。
ドクターXにだいぶ毒されている山北町の秋の1日でした。