無視とは

今日も朝から箱根事務局の電話が鳴り続ける。
大概は女子従業員のいさかいによる苦情処理だ。
多い時は10件にものぼるそうだ。給料計算などの立て込んでいる時は、FAXで今日は遠慮してくれとアナウンスするが、それでも休みの従業員が自宅からかけてくるので(当院はそれぞれ休日が違う)始末が悪い。
昔は私が自ら仲裁をやっていた時があった。いさかいの発端は、どちらかが朝の挨拶をしないとかいうものが多い。
「先生、A子ったら、朝私の事を無視するんですよ。歳は同じだけれども、らいおんに入ったのは私の方が2年先なので、向こうから挨拶するべきです…etc etc」
人間関係で「無視」ほどまずいものはない。
それだったら、まだ大声でやりあった方がましだと私は考える。

昨年の事になるが、とある医院近くのコンビニで朝買い物を終えて出ると、なんと出口の真ん前で我が医院の衛生士が車の前方のミラーを見ながら一生懸命お化粧に勤しんでいた。とっさに私は考えた。ここで敢えて知らんふりをしたら、案外気づくかもしれず、やはり何らかのコンタクトをとるべきものと思った。
とにかく無視は絶対にまずいと思って、サイドミラーをコンコンと叩き「きれいきれいにしてるのね」と言ったら、「ヒエー」という声をあげるなり、車のドアを開けコンビニの中に消えていき、コンビニの中でも走っているのを見て笑ってしまった。
(今でも時々その光景を思い出して笑っている。)

また、10年程前のある時、ショッピングセンターの書籍売り場から買い物を終え帰ろうとすると、女性の下着売り場のワゴンを真剣な目をして漁っている当法人の従業員がいた。これは挨拶をしては大変と、抜き足さし足をしてその場所を立ち去った。
こういうケースは例外として、診療室の外で会ってもあの先生挨拶してくれなかったという話が多く、やはりほとんど解ってしまっているものと考える。
先日は久しぶりに全体ミーティングがあったが、まず最初に基本中の基本で、しっかりどちらともなく阿吽の呼吸で挨拶をせよと檄を飛ばした。