夢で逢いましょう

夢というものは全く不思議な現象だ。
日頃、頭の中にない事や考えが夢になって現れる。

昨日も7年前に死んだ大学の同級生のTが、なんと頭が禿げ上がった高利貸しになって現れ、私が、
「お前、いつから歯医者を辞めて高利貸しになったんだ」と言うと
「歯医者は世間を欺く仮の姿だ。俺の本業は高利貸しだ。
 気づいたか、ワハハハハー」
というところで目が覚めた。

何でこんな夢を見たのだろうと考えると、若干思い当たる事があった。
あれは1週間程前、NHKの「思い出のメロディー」に、やはり今は亡き青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」をビデオと共に流していた。
この歌は、御存知のように冒頭が「チャチャチャチャカランチャチャ、アー、アー」という意味深な女のため息や吐息から始まる。
大学に入った頃、Tに用事がありTの下宿に尋ねていくと、Tがベットの上で何やらのたうち回っている。
「何やっているんだ」と私が言うと、「市島、いいものを聞かせてやろうか」と言って、青木三奈の「アアッ、アァー…」と10回程リフレインしたカセットデッキをONにして、
「市島、青江三奈イロっぽいべー」とか言って、身振り手振りを入れて曲を聞きながらのたうち回っている。
Tは共産党運動に邁進して、ある面非常に真面目な学生であったが、正直なところ私は「こんなバカが同級生にいるんだ。私の人生史上最大のアホだ」と思った。
しかしながら、アホな事をやるのは引けを取らない私は、彼と親しくなり親友となった。
最期はスキルス性の胃癌で50代で人生を終えてしまった彼は、さぞかし無念だったと思われる。その彼の執念、怨念が私の周りを徘徊し夢となって現れてくると思いつつ、次にいつどんな姿で夢に現れるかを楽しみにするようになっている。

P.S YouTubeで青江三奈の伊勢佐木町ブルースを聞いて下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=ws-uVh8EOEI