国家試験について

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先ごろ、歯科医師国家試験の結果が発表になった。
我々が受験した頃は合格率が90%を超えていて、余程、不勉強な人間でなければ、合格させてくれる時代だったが、昨今は合格率が70%位と、4,000人受けて、1,000人落ちる狭き門となっている。
10回以上、不合格となっている者もいるという。
私立の場合、何千万円もお金を出した親共々、実に気の毒な話だ。
だいたい、歯医者にとって必要なのは、患者を何とか救おうとする熱い心と、頑強な体力で、ペーパーで何点取るかというのは二の次、
三の次の問題だと思うのだが・・・
以前、長男が国試を受けた時、父兄会があり、担任から説明があった。
(だいだい大学で父兄会が有る事自体驚いたが・・・)
「お父さん達!!お父さん達が受験したころと比較すると格段に難しくなってますよ! 嘘だと思うなら、本日、帰りに本屋さんに寄って、国試の過去問を見て下さい!」
素直な私は八重洲ブックセンターに寄り、国試の問題を見て驚愕した。
“難しい”一度も聞いた事のないフレーズが羅列されている。
つくづく、こんな問題を解かされていている息子を憐れに思った。
このような事態に陥っている背景には、歯科医師過剰問題が根底にある。
しかし、文科省は我が母校、北大でも、歯科医師過剰が叫ばれている中、定員を40名から80名(だったと思う・・・)に引き上げた前科がある。
過去の官僚の読み間違えを現在の受験生にかぶせてしまうのは、あまりに気の毒に思われる。
卒業研修制度も問題がある。現状では厳しい国家試験によれよれになって合格した受験生のリハビリの様な役割しか果たしていないのではないだろうか・・・
我々、開業医は研修期間を臨床経験に入れていない。 
ほとんど何もやらないで見ているのみという施設があまりにも多いからだ。
この間、研修医明けの女医さんと話していて驚いた事があった。
「理事長の頃は、入試の方が、国試より難しかったんですね。」
「なにぃ~」
「今は、国試の方が入試より難しいの?」と言ったら、何を驚いているのかというような顔をされた。 
何をかいわんやである。
受験テクニックを持ち合わせない、何回も落ちるような国試難民の処置はどうするのであろう。
自分の将来に絶望して、自殺するような若者が出なければよいが・・と
切実な気持ちになってしまう、今日この頃ではある。