名こそ惜しけれ

ここのところ連続でうれしい出来事に遭遇した。

どちらも診療所に行く途中のコンビニの駐車場で、1回目は200円、2回目は何と2000円、私は例の如く落とし、全く気が付かないでいると、どちらも30代ぐらいの男性の若者が、「落し物をしましたよ」と声をかけてくれた。

「そこで落とされましたね」との事で、お礼を言おうと思うと足早に去って行ってしまった。

数年前、上海へデンタルショーに行った時、財布などが入ったバッグを羽田空港で落とした事を行きの飛行機の中で気づき、上海に着いて電話すると空港事務所に届けられているとの事であった。

現金もかなりその中に入っていて、その話を上海在住の技工士のS君にすると、

「さすが日本です。中国ではあり得ない。きっと瞬間蒸発ですよ」と言っていた事が印象に残っている。

この間も銀座交差点近くの「マツモトキヨシ」で買い物をしていたら、中国人と思われる団体が奇声をあげながら買い物をして、そのうちの1人の“おばちゃん”に突き飛ばされた。そのおばちゃんをにらみつけても平気の平佐である。

外国人は日本で落し物をして、それが奇跡的に届けられることに感嘆している例が多い。

そういう努力と誠意の積み重ねで、単なるエコノミック・アニマルではなく、日本人の“素晴らしさ”を評価してくれるのはうれしい。

司馬遼太郎はこう言っていた。

日本人特有の倫理観は鎌倉武士の精神からきている。

彼等の精神風土は一言でいうならば「名こそ惜しけれ」

つまり「自分の名を汚すような事はするな」というメンタリティの事で、確かにそういう精神は日本に根付いているように思う。

私は今の日本の若者は団塊の世代やそれに続く私の世代と比較して、マナーを守るという点では上にあると思っている。

日本が世界から物質ではなく精神で尊敬される時代がもうそこまできていると感じた。