むし歯と歯磨き

子供の頃から、むし歯にならないように歯磨きをしなさいと言われて、まぁなんとなく、毎日当たり前に歯を磨いている人もいると思う。

私も幼少の頃は、テレビをつければ当時の子供達に人気だったドリスターズのカトちゃんが、「ババンババンバンバンッ、宿題やれよ!ババンババンバンバンッ、歯磨けよっ!」と歌っていたので、宿題はやらなかったが、歯は磨いていたと思う。

むし歯にならないようにと。

 

むし歯の成り立ちというのは解明されていて、歯に付いた歯垢の中にいる、ミュータンス菌と呼ばれる菌に食物の中に含まれる糖分が作用し、ある物質が作り出される。

その時、一緒に酸も作り出される。

この酸が歯の表面を溶かし、穴を開けてしまう。

これがう蝕(むし歯)だ。

だから、この菌が口の中にいる限り、むし歯になってしまう危険があるという事だ。

 

日々、患者を診察していると、ある事に気がつく。

歯垢を見つける事が出来ない程、きれいに歯磨きが出来ているにもかかわらず、むし歯が多発している人がいる。

それとは逆に、歯磨きがあまりに上手ではなく、歯に歯垢がたくさん付着しているのに、むし歯がほとんどない人がいるのである。

なぜだろうか?

例えば口の中を鏡で見てもらうと分かるが、奥歯にはしわというか溝のようなものがある。

実はこの溝、顕微鏡で見ると歯ブラシなど入り込まない程、深く窪んでいるのだ。

その窪みの中には、むし歯の原因菌が潜んでいる。

だから歯ブラシでいくら擦っても菌は残ったまま、歯ブラシはその上を通過していくだけである。

要するに、歯磨きだけでむし歯を完全に予防することは出来ないということだと思う。

歯磨きが上手な人でも、菌は必ず残っている。

口の中が汚れていても、むし歯にならない人というのは、歯垢中にむし歯の原因菌がほとんどいないか、少ない人なのだろう。

そうなると、むし歯を予防するには、生活習慣にも気を配る必要がありそうだ。

糖分の多く含まれる食品は控えめにする。

また、それらを摂取する間隔を空けるようにする(唾液によって酸が中和される時間をとるため)。

むし歯になりやすい人は、余計に注意しなくてはいけないかもしれない。

 

先日、湘南台医院でキッズ体験イベントを行なった。

可愛らしい子供達に歯医者さんの仕事を疑似体験してもらい、保護者の方には、お口の健康維持についてアドバイスさせていただいた。

普段忙しく働いているスタッフも、この日は良い気分転換になったようです。

参加してくれたちびっこ先生、どうもありがとうございました。

 

湘南台医院 院長