これはどこかの国のまぬけな大臣の話ではない。
開業したてのころ、スタッフが皆本当に良く働いてくれて助かった。
東京にいたころの大学や、アルバイトで働いていたスタッフよりはるかにまじめに、すばやく行動してくれた。
医院で飲み会をやった時、彼女たちのルーツの話をしたところ、ほとんど父母の出身地が東北地方だった。
その後も目立つ働きをしてくれる衛生士、助手の先祖は東北出身の父母もしくは祖父、祖母をもつ者が多いことに気がついた。
うちのオヤジが言っていた。
第二次世界大戦で、進撃する時、真っ先に飛び込んでいくのは血の気の多い九州人で、その後に義理堅い東北人、関東人が続くと言っていた。
何となく解る話だ。
そしてまた日本の高度成長も、律儀で寡黙にもくもくと働く東北人の労働力によるものが多いとも言っていた。
先の震災の時、地震後もマナーを守り、口数少なく、粛々と復興に努める東北人に世界中のメディアは驚嘆し、絶賛した。
大学2年の夏、札幌から東京へサイクリング旅行を寮で同室の友と2人で2週間ほどかけて行なった。
何しろ真夏なので1日体重が4㎏減り、夕食で4㎏補食するという毎日だった。
三陸海岸にさしかかった時、そこの民宿でなんと2人でおひつ3杯をたいらげた。(おそらく人生で最初で最後だろう)
3杯目はさすがにもらいに行くのに気がひけたが、ジャンケンで負けた寮で同室のIがもらいに行った。
「びっくりしていただろう」と私が聞くと、「笑いながら、すごいねと言ってくれて、これからも頑張ってねと励ましてくれたよ」と言っていた。
東北を縦断したサイクリング旅行で、寡黙ではあるが情の深い東北人の思いやりに触れ、すっかり東北人が好きになってしまった。
これはその後行なった北海道や四国のサイクリング旅行でも味わえない程のものがあった。
今度の震災も東北人だからこそ耐えられた、と本当に思っている。
今も復興半ばで真冬のしんしんと積もる雪の中でねばる東北人気質に共感し、心底応援したいと思っている。