岩手県人と大谷翔平

北大に入学し、寮生となった。もう50年も前のことである。
寮の中でやはり圧倒的な数を占めていたのは、東北人であった。

東北人は一般的に寡黙、若干消極的というイメージがあったが、東北6県それぞれ違うという事を知った。
青森西部はおっちょこちょい、秋田は派手好き、山形は倹約家ぎみ、福島は関東人似。
そして青森東部と岩手は、東北人中の東北人で、それこそ寡黙、頑張り屋、努力家、人情家が多いと幾人かの寮生とつきあってみて思った。

昔、テレビでりんごを30個ぐらい散らばして、どの県が一番多く拾ってくれるかという実験をやっていた。
私は、きっと一番拾う数が多いのは岩手県人だと思ったが、どんぴしゃりであった。
岩手県人は、ある種の日本人の美徳を持ち合わせた県だと思うようになった。
総理大臣に原敬をはじめとして5人も選出しており、
以来、私は先祖が岩手県人と聞くと、ある種の信頼性をもつようになった。

最近の例で言うと、大谷翔平がそうである。
グラウンドに少々のゴミでも見つけると、必ず拾うという堅実さ、謙虚さ、芯の強さ、日本人としてアメリカ人を驚嘆させ、尊敬されているのは、明治以来醸成された岩手の県民性からくるものだという感じがする。
石川啄木や宮沢賢治などの日本人のメンタリティーを築いていった伝統が、大谷にも宿っているのではないかと日本人として嬉しく、誇りに思いながら大リーグ中継を見ている。